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もっと早く会えればよかった

仕事の帰り道、前にいた部署の後輩から声をかけられた。道すがら話していると、ちょうど人からギターを譲られ、これから始めるところだという。それはぜひ一度スタジオへ行こうと誘い、ギターを教えることになった。

1時間のレッスンは盛り上がった。初めて弾くギターを随分気に入ったようで、しきりに「これは面白い」「早くまた弾きたい」とこぼしていた。
彼は大学生時代に保育系の学科に通っていて、授業でピアノかギターのどちらかを選択することになったそうだ。そのときは、ピアノの方が圧倒的に先生も多いし、保育園にギターはないから買わないといけないぞと言われ、後ろ髪を引かれつつピアノを選択したらしい。その後も中々手が出せずにいて、今回ついにギターを弾き始めたのだ。
その話をした後、彼は「瀬戸さんにもっと早く会えていればよかった」と言ってくれた。

聞いた瞬間は、なんだかそわそわと、恥ずかしいような気持ちになった。もっと早く会いたかった、と言われたのは、記憶する限り初めてである。あまりにさらりと言うので、恥ずかしがるのもおかしいと思い、ありがとう、とだけ言った。
帰って風呂に入っている辺りから、なんだか無性に嬉しくなって、こうしてブログを書いている。

こんなカッコいいセリフを言うこの後輩、思えば実際にカッコいいのだ。イケメンで高身長、がっしりとした身体つきだが物腰は丁寧で爽やか。一読するとそんなやついるのかと私も思うが、いるのだから仕方ない。
その上こんなセリフを言うのだから、どう考えてもモテるに決まっている。これで彼女がいないなどと言ったら、実はとんでもない変態だとか、何か致命的な欠陥があると疑われてしまうに違いない。イケメンも大変である。つくづく、カッコよく生まれなくてよかった。
負け犬の遠吠えだと思う人もいるだろうが、誤解しないでほしい、私はどちらかと言えば猫派だ。このくだりは蛇足だ。

ともかく、私が感じた嬉しさは、後輩がカッコいいこととは関係がない。その言葉が、最大の賛辞だと感じたからだ。「もっと早く会いたかった」とは、もっと早い時期からあなたがいてくれれば、私の人生はもっと豊かだったでしょう、という意味だ。
「ギターを教えることで、その人の生活が少し楽しくなり、人生が豊かになる」というのは、私がギターを教える目的であり、この言葉は、私の試みがその目的地にいくらか届いたことを表していると思うのだ。

「もっと早く会えればよかった」という言葉をもらって、この日、本当にギターを教えに行ってよかったと感じた。ただ「ありがとうございました」と言われただけでは、こんな気持ちにならなかっただろう。
言葉を選んで伝えるということには、それだけの重さがある。

彼のようにカッコよく伝えるのは難しいかもしれないが、私も感謝を伝えるとき、自分の言葉を丁寧に選んで、贈り物をするように相手に渡したいと思う。

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楽器を丁寧に扱うこと

生まれて初めて、日記を一年つけることができました。私はもともと飽きっぽくて、大好きなゲームでも、それほど気持ちが続くことは少ないんです。
ああ良かったなあ、くらいの感覚で、年明けからも日記を書いていました。

そんなときにライターの古賀史健さんのこの記事を読んで、やけに納得しました。
https://note.mu/fumiken/n/n008614a79270

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「雑に扱ったそれは、かならず飽きる。丁寧に扱ったそれは、かならず育つ。」
私に置きかえれば、ほぼ日手帳と、それに書きつけるパイロットの万年筆、そして丁寧に書いてきたという実感があって、日記が続いたんだと思ったんです。

そして同時に思いました。楽器も、同じなんじゃないでしょうか?
私が高校・大学を卒業してもギターを続けていたのは、それまで丁寧に時間をかけて練習していたからこそ、向き合った時間があったからこそだと思います。もし私が腕を怪我して、一生ギターを弾けないとしたら、大変な喪失感を味わうでしょう。なんとか弾ける方法はないかと、食い下がるかもしれません。
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